初めての株式投資

第136回信用取引残高について

前回は「信用取引の追加保証金」について紹介しましたが、今回は「信用取引の売買状況」に関係する「信用取引残高」について解説したいと思います。

前回まで信用取引を行ううえで必要となる用語の解説、注意点を中心にお伝えしてきましたが、今回からは信用取引をより上手く活用するための解説を紹介することとし、まず今回は「信用取引の売買状況」に関係する「信用取引残高」を紹介したいと思います。

さて、信用取引には、買いから手掛ける「信用買い」と売りから手掛ける「信用売り」があることをお伝えしていました。その二通りの売買状況を示したものが「信用取引残高」となります。

信用買いでの「建玉」の合計を示したものが「信用買い残高」。そして信用売りでの「建玉」の合計を示したものが「信用売り残高」となります。要するに信用取引で「未だ決済されていない残高」を示したものでしょう。

また、信用売り残高の別名が「貸株残」。そして信用買い残高の別名が「融資残」とも呼ばれます。これは主に制度信用取引を通じた取引を指し、これらは証券会社の取引ツールにおいて個別株情報などで確認できるのではないでしょうか。

そして、新規や返済、残高の前日比が表示されているケースも多く、表示されている日数で取引された信用取引情報が表示されます。その日に新規の信用取引、返済された信用取引、そして買い残の変化が表示されることから、その銘柄に対する投資家の思惑を反映したものと言えるでしょう。

さて、次回も「信用取引の売買状況」に関係する「取り組み」について解説します。お楽しみに!

第137回信用取引の取り組みについて

前回は「信用取引の売買状況」に関係する「信用取引残高」について紹介しましたが、今回も「信用取引の売買状況」に関係した「取り組み」について解説したいと思います。

前回紹介した「信用取引残高」では、信用建てされたものの、未だ決済されていない信用取引残高として「信用買い残高」と「信用売り残高」があることを紹介していました。

今回紹介する「信用取り組み」は、その需給関係を探るものです。信用取引には、信用買いのみ取引可能な制度信用銘柄があるなどレバレッジ取引の印象が強く、通常の貸借銘柄では、信用売り残高より信用買い残高が多いケースが一般的なのではないでしょうか。

この信用買い残高が増えると、将来の売り返済需要が増えるわけですから、株価の上値の重しとなります、逆に信用買い残高が減ると、将来の売り返済需要も減るわけですから、株価の上値は軽くなることが予想されます。

また、信用買い残高の増加とともに信用売り残高が増加すると、信用取引によるボリューム増加で活況を呈していることがわかります。ともに残高が減少していると、ボリューム低下で商いが減ってきているとも判断できるでしょう。

また、信用買い残高と信用売り残高の差が少なくなることを「取り組み妙味」として、将来の株価判断が拮抗していることもわかります。

この「信用取り組み」を数値化したものが、信用売り残高を信用買い残高で割って算出される「信用倍率・貸借倍率」となります。次回は「信用倍率・貸借倍率」について詳しく解説します。お楽しみに!

第138回信用倍率・貸借倍率について・前編

前回は「信用取引の売買状況」に関係する「取り組み」について紹介しましたが、今回も「信用取引の売買状況」に関係した「信用倍率・貸借倍率」について解説したいと思います。

前回紹介した「信用取り組み」のなかで、売買状況を数値化するため、信用売り残高を信用買い残高で割って算出される「信用倍率・貸借倍率」の存在を示していました。

これを「信用取引の取り組み倍率」と呼び、貸借倍率は日証金ベースの貸借取引による取引状況を示したものです。すでに株式取引を行なっている方は、証券会社の取引ツールなどで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

見方としては、貸株取引が信用売り、融資取引は信用買いを指し、制度信用取引や貸借取引における日証金べースでの取り組みが集計されています。取引ツールなどではそれぞれの残高、新規注文、返済注文の数量が示され、残高の差し引き、前日比などで信用取引状況がわかるようにもなっています。

また、貸借取引と一般信用取引を含めた売り残と買い残の株数、そして信用売り残高を信用買い残高で割って算出されるのが「信用倍率」です。一般信用取引を含む分、信用残高は高めになっているのではないでしょうか。

貸借倍率と信用倍率は概ね連動して推移しますが、稀に貸借倍率と信用倍率が大きく乖離している場合もあります。これは制度信用や貸借取引を除く一般信用取引の数量が増えているためです。過去には乖離が目立たず、主に貸借倍率が信用取組の指標となっていましたが、一般信用取引の普及に伴って乖離するようになってきました。

次回も「信用倍率・貸借倍率」についてより詳しく解説します。お楽しみに!

第139回信用倍率・貸借倍率について・後編

前回は「信用取引の売買状況」に関係した「信用倍率・貸借倍率」について紹介しましたが、今回も「信用倍率・貸借倍率」について、より詳しく解説したいと思います。

信用取引の売買状況を数値化するため、信用売り残高を信用買い残高で割って算出される「信用倍率・貸借倍率」ですが、今回は見方について解説しましょう。

売りと買いの「倍率」ですから、この数値が1倍ということは売り残と買い残が同数量であることがわかります。そして1倍未満ならば売り残が超過していることになり、1倍以上ならば買い残が超過していることになります。

買い残は「株価が騰がることを期待しての買い注文」により、未返済の残量を示すことから、将来の売り需要となります。売り残は逆に「株価が下がることを期待しての売り注文」により、未返済の残量は将来の買い需要となります。

要するに、倍率が1倍未満ならば将来の買い需要が多く、1倍以上ならば将来の売り需要が「溜まっている」とも判断できるのではないでしょうか。

よって、日々の新規注文、返済注文による残高推移や倍率推移で市場参加者の思惑が見て取れるほか、単純に倍率を見るだけで将来の株価推移に対する参考指標ともなります。

株価が底値圏にあり、倍率が1倍を大きく超えていれば、将来の売り需要を考慮すると「戻りは鈍い」とも判断できますし、反対に株価が高値圏にあるなか、倍率が1倍未満ならば将来の買い需要を踏まえると「上値余地を感じさせる」のではないでしょうか。

とくに高値更新時には「まだまだ騰がる」との期待が一気に高まるだけに、下げるとの判断で信用売りを手掛けていた投資家が買い戻しを決断させられるタイミングとなり、信用売りの買い戻しが株価が押し上げる「踏み上げ」に発展するケースもあります。

もちろん、株式の売買には信用取引だけでなく、現物取引も加わることを忘れてはいけません。信用倍率や貸借倍率に注目し過ぎると株価の方向性を見誤ることも多く、あくまでも参考指標として捉えておきましょう。

次回は「貸借取引の回転日数」について詳しく解説します。お楽しみに!

第140回貸借取引の回転日数について

前回は「信用取引の売買状況」に関係した「信用倍率・貸借倍率」について紹介しましたが、今回も「信用取引情報」における「貸借取引の回転日数」ついて解説したいと思います。

これまで「信用取引の売買状況」の判断材料となる信用取引残高や信用倍率・貸借倍率などを紹介、第136回「信用取引残高について」でも、証券会社の取引ツールにおいて個別株情報などで確認できることを記していました。

制度信用取引を通じて、新規や返済、残高の前日比が表示されるなど、信用取引情報が確認できることを紹介していましたが、今回の「貸借取引の回転日数」も取引ツールなどで確認できる情報です。

この回転日数を詳しく解説すると、新規で信用建てを行なってから、返済するまでの日数を指します。情報としては買い、売りを問わず、新規注文が約定されてから返済するまでの日数の平均を算出したもので「売買の回転」に要する日数と判断していいでしょう。

この回転日数を見ることで、信用取引を行っている取引参加者の新規注文から返済までの期間が長いか短いかを知ることができます。この期間が長ければ、売買はあまり活発ではないと判断できますし、期間が短ければ、売買が活発に行われていると判断できるのではないしょうか。

もちろん、他の信用取引情報と同じく、回転日数が売買の判断基準になることは稀ですが、売買のピークを見極める「物差し」になります。日数が少なくなっていけば「売買がより活発になっている」と判断できますし、日数が多くなっていけば「売買が盛り下がってきている」との判断になることから、上値追いを見せている銘柄や高値圏にある銘柄の売買状況の確認に利用しましょう。

次回は「逆日歩」について詳しく解説します。お楽しみに!

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