初めての株式投資

第46回業績予想修正について

前回では「IR(投資家向け広報)」の一種でもある「決算発表」について解説しましたが、今回も「決算発表」と並んで重要度の高い「業績予想修正」に
ついて紹介したいと思います。

上場企業には、決算発表を行う「義務」があることを前回お伝えしましたが、その「決算短信」の下段に「次期業績予想」が掲載されている企業が多いと思います。

主に通期業績発表となる「本決算」にて、次期予想が明らかになりますが、終わった期の内容と次期の業績予想が企業の成長性を示す指標となることから、株価変動要因として強く認識されることは、前回にも記した通りです。

ただ、決算集計中に事前に明らかにしていた次期予想と大きく乖離する可能性が濃厚となった場合、証券取引所が定める基準を超える内容ならば、企業側も業績予想の修正開示を行わなければなりません。

基準は、売上高が10%以上の増減があった場合と営業利益・経常利益・当期純利益において、30%以上の増減があった場合が該当します。もちろん、これは基準を超えた場合の「上場規定」に該当する場合ですし、この基準を下回る内容においても企業側が能動的に開示を行う場合もあります。

業績予想修正の開示後は、概ね開示内容に沿った株価反応が見られます。決算発表と同様に、好内容でも失望感につながるものや悪い内容でもアク抜けにつながることもあり、事前の株価推移や市場に伝わっている「コンセンサス予想」の把握が重要となります。

業績予想の発表時期としては、特別損益の計上による業績修正などは想定し難いものの、概ね決算数値を集計するタイミングに集中しています。決算期待とともに決算発表を先回りするスタンスで臨みたいものです。

ただ、決算発表は、義務となっていますが、次期予想の開示は義務化されていません。経済環境の変化に敏感なハイテク企業や金融業などは開示を控えている企業も多く、半期や四半期の開示に留めている企業も数多くあることから、全ての企業が業績予想修正を行うわけではないことも覚えておきましょう。

次回は「業績予想進捗率」について詳しく解説します。お楽しみに!

第47回業績予想進捗率について

前回では「IR(投資家向け広報)」の一種でもある「業績予想修正」について紹介しましたが、今回は業績予想に対する達成度合いを測る「業績予想進捗率」について解説したいと思います。

前回までは、決算発表や業績予想修正など、実際の数値がそのまま判断材料となるものを挙げていましたが、今回紹介する「業績予想進捗率」は企業側が実際に発表するものではなく、決算内容に対する評価要因として投資家側が独自に算出するものです。

「進捗」とは、物事がはかどることを指し、工事の進捗状況などの「進み具合」を把握する意味を持ちますが、今回の「業績予想進捗率」も業績予想に対する「進み具合」を把握するために使います。

業績予想に対する進捗状況ですから、締めた期の発表と次期予想が明らかとなる本決算では使えません。第1四半期、第2四半期、第3四半期の業績開示時の発表数値と企業が公開している「中間予想」や「通期予想」を用います。

算出は、集計の終わった四半期数値を分子に、予想数値を分母として計算します。集計期間の長い予想数値のほうが大きいケースが多いですから、必然と小数点以下となりますが、これを%(パーセンテージ)として判断します。

すでに予想数値に達していれば100%に、半分ならば50%です。四半期業績は文字通り年間業績を「4分の1」にしたものですから、単純に業績集計を4等分し、第1四半期時点で25%、2四半期時点で50%、第3四半期時点で75%に達していれば、通期目標に向けて順調に推移しているとも測れます。

%(パーセンテージ)を用いて進捗状況を数値的に判断しやすくすることで、前述したように「業績予想に対する達成度合いを測る」意味合いが強く反映されるのではないでしょうか。

ただ、注意点としては、季節性の影響があります。季節性の影響が強い産業、例えば夏季に強い企業ならば4月から9月までの影響度が大きい半面、冬季に強い企業ならば10月から3月までの影響度が大きいでしょう。

また、ソフト産業などは、納入時期が集計タイミングとなるため、企業の設備投資が集中する第4四半期業績に占める割合が大きいなどの特徴があり、事前に個別要因を調べておく必要があります。

次回は「剰余金配当修正」について詳しく解説します。お楽しみに!

第48回剰余金配当修正について

前回では業績予想に対する達成度合いを測る「業績予想進捗率」について解説しましたが、今回は「剰余金配当修正」について紹介したいと思います。

「剰余金配当修正」は、その名の通り「配当金額の修正発表」です。IR(投資家向け広報)内容としては、「剰余金の配当に関するお知らせ」「配当予想の修正に関するお知らせ」などの表題で発表されます。

業績予想と同様に、決算短信の期初予想で配当金額方針が明らかとなりますが、想定以上の好業績だった場合、会社側の目標とする配当性向など配当方針に沿って、配当金額が増額されることがあります。これが「増配」です。

株主に向けての直接的な利益還元でもある配当の増額は、概ね好感されるケースが多いようです。もちろん、業績予想修正も同様に「過度の増配期待」が高まっていた場合には、予想未達による「出尽くし」となりますが、それでも配当方針の増額姿勢には変わりがなく、発表後の株価も大きく水準を落とすケースは少ないように感じられます。

一方で、想定以下の業績だった場合には、配当予想を下方修正するケースもあり得ます。これが「減配」と呼ばれ、IR(投資家向け広報)のなかでも最も嫌気される内容となります。ただ、配当を行わない「無配」の状況よりかは、失望感が軽減されるのではないでしょうか。

ただ、発表時に注意しておきたいのが、その配当分の基準日でしょう。発表時期によっては、すでに配当権利月を通過している状況も多く、増額された配当権利を得られるのは権利月に保有していた株主だけです。ただ、この配当方針は次期にも持ち越されることが多く、素直に好感されるケースが多いようです。

次回は「自社株買い」について詳しく解説します。お楽しみに!

第49回自社株買いについて

前回では配当金額の修正発表となる「剰余金配当修正」について紹介しましたが、今回は「自社株買い」について解説したいと思います。

「自社株買い」もその名の通り「企業が自社株式を購入」することです。IR(投資家向け広報)内容としては、「自己株式の取得に関するお知らせ」「自
己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」などの表題で発表されます。

企業が株式市場ですでに流通している株式を購入するということは、上場時などの株式売り出しとは逆に「需給が引き締まる」状況となります。よって、株価には素直にプラス方向への影響を与えるでしょう。

リリースでは、取得する株式の総数の「上限」と株式の取得価額の総額の「上限」と取得期間が明らかにされます。基準となるのが、発行済株数に対する割合、すなわち「何%の株数を購入するのか」が焦点となります。

浮動株比率が仮に30%の企業が3%分を購入する場合と浮動株比率5%の企業が同じく3%の株数を購入するのとでは、需給要因に与えるインパクトに違いが出てきます。自社株買いがリリースされた場合には、購入割合と発表企業の浮動株比率も参考にしてください。

また、企業側の「取得目的」も注目ポイントです。購入された株式を「金庫株」として保有する場合や状況によっては株式交換による企業買収にも使えるほか、消却することによって発行済株数そのものを減らす場合があります。

発行済株数を減らす「自社株消却」は、一株利益の上昇にもつながり、流通株式の価値向上の面でプラスに作用します。「自己株式の消却に関するお知らせ」とのリリースも注意して見ておいてください。

次回は「エクイティファイナンス」について詳しく解説します。お楽しみに!

第50回エクイティファイナンスについて

前回では「自社株買い」について紹介しましたが、今回は「エクイティファイナンス」について解説したいと思います。

「エクイティファイナンス」とは、デット(debt:負債)と対置される意味合いでのエクイティ(equity)とは株式のことであり、ファイナンス(finance)
とは資金調達することを指すことから、「株式発行による資金調達」として認識されています。

一方の社債発行による資金調達は、将来償還や返済の義務を負う形が付くこともあり、デット(debt:負債)ファイナンスと呼ばれています。

「株式発行による資金調達」に話を戻しますが、一般的には「公募増資」と呼ばれます。やはり新たな株式が増えて流通するわけですから、株式の「需給が緩む」状況となり、株価にとっては明らかなマイナス要因です。

IR(投資家向け広報)内容としては、「新株式発行および株式売り出しに関するお知らせ」がまず発表され、「発行価格および売り出し価格の決定に関するお知らせ」「発行新株式数の決定に関するお知らせ」などの表題で内容が次第に明らかとなります。

マイナス要因となる一株利益の低下ですが、自社株買いと同じく「発行規模」が重要な手掛かりとなるでしょう。発行済株数に対する割合となる「何%の株式が増加するのか」で実際のマイナス要因を計れます。

発行によるマイナスインパクトを通過すれば、調達資金の充当先も評価の分かれ目となるでしょう。事業拡大を目的とした積極的な設備投資などは一株利益の向上を目指したもので、中長期的視点での評価につながりますが、負債返済など直接的な一株利益の向上につながらないものはなかなか評価されないようです。

ただ、債務超過状態の企業の財務立て直しを目的とした新株発行は評価される場合があります。新株発行に引き合いがあり、増資が成功すること前提ですが、公募増資を行う企業の実態面もよく把握しておきたいところです。

次回は「株式分割」について詳しく解説します。お楽しみに!

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