初めての株式投資

第51回株式分割について

前回では「エクイティファイナンス」について解説しましたが、今回は「株式分割」について紹介したいと思います。

「株式分割」とは、文字通り株式を分割することです。簡単な例ですと、2分割の場合は流動する株式がそのまま2倍となり、株価が2分の1に修正されます。株式分割を行うメリットとしては、株式投資額の引き下げにつながり、株式購入がしやすくなるほか、株式の流動性向上が見込まれるため、株主還元の一手法と認識されています。

IR(投資家向け広報)内容としては、株主総会の承認および定款の変更が必要なため、「株式分割及び株式分割に伴う定款の一部変更に関するお知らせ」と発表されます。

株式分割にも配当などと同じく、基準日と効力発生日があります。概ね月末を基準日とし、効力発生日はその翌日。つまり月初からとなりますが、権利付き最終日の株主名簿に記載されればいいわけですから、権利付き最終日の保有しておけば、権利落ちの翌日から株式が発表内容に順じて分割され、同時に株価も修正されます。

株価材料としては、流動性向上のメリットもあることから、基本的には好感される発表となります。ただ、分割株式を手にした投資家からすれば、含み益の一部を利益確定することも容易になりますから、分割実施後は一定量の売り圧力も考慮しておく必要があるでしょう。

過去には、株式分割の実施日から新株が市場に流通するまでに2カ月ほどの期間があったため、保有株式を手にした投資家は分割の恩恵に与ろうとして手放さず、流動性の不均衡時(品薄状態)を狙った材料発表で人気化するケースもあり、「株式分割バブル」とも呼ばれました。ただ、現在では権利落ちと同時に分割実施が行われるため、発表自体が株価の急騰材料となるケースは少ないようです。

また、株式分割とは逆に株式をまとめる「株式併合」も行われますが、発表するケースがごく一部に限られています。多くは発行済株式総数の多い低位株や上場廃止を回避すべく株価対策を行う株価低迷企業が行うため、表面的な株価上昇が見られても再び低迷するケースが多いのではないでしょうか。

次回は「市場変更・指定替え」について詳しく解説します。お楽しみに!

第52回市場変更・指定替えについて

前回では「株式分割」について紹介しましたが、今回は「市場変更・指定替え」について解説したいと思います。

前者の「市場変更」については、文字通り所属市場を変更することです。例えば、大証が管理するジャスダックから東証1部に所属市場の変更することを「市場変更」とされます。

後者の「指定替え」については、多くは「1部指定」や「2部指定」など東証や大証の1部・2部の変更を指します。2部からの1部指定や東証マザーズか
らの1部指定などは「指定替え」よりも「1部昇格」と呼ばれます。一方、1部から2部への指定替えに関しては、「2部降格」と呼ばれることも多いよう
です。

IR(投資家向け広報)内容としては「東京証券取引所市場第一部への指定に関するお知らせ」など対象市場を含めて具体的に記されます。もちろん、上場時と同じように昇格基準を満たし、東証など取引所の承認をもとに発表されます。

さて、株価の反応としては、より大きな市場に変更する場合はポジティブ材料と見なされます。要因としては、企業の信用度上昇が挙げられるほか、株式需給としても「インデックスファンドの組み入れ需要」が発生するため、発表後の株価は値上がりすることが多いようです。

もちろん、より小さい市場への「降格」時にはネガティブな材料として捉えれます。市場変更・指定替え銘柄を手掛ける際には、リリースの表題だけではなく、発表内容をよく確認しておきたいところです。

市場変更や指定替えのタイミングですが、東証2部から1部への指定替えは決算期、もしくは半期決算期の初日と決まっています。この通知は、指定替え前月の20日に行われることから、決算月の前月20日から1日までが発表時期になることを覚えておきましょう。

次回は「業績観測報道」について詳しく解説します。お楽しみに!

第53回業績観測報道について

前回では「市場変更・指定替え」について解説しましたが、今回は「業績観測報道」について紹介したいと思います。

前回まで、株価材料となる決算や業績修正、株式分割、市場変更などIR(投資家向け広報)発表を中心に紹介してきましたが、今回取り上げる「業績観測報道」は、文字通り報道機関が企業業績を焦点にした記事を指しています。

株式関連の報道を担う機関としては、最大手経済紙の「日本経済新聞」や一般紙、「ロイター」や「ブルームバーグ」など金融情報ベンダー、証券業界紙、四季報など経済系雑誌が中心となります。もっともタイムリーな観測報道を提供しているのが日刊発行の「日本経済新聞」でしょう。

日本経済新聞では、決算情報などを織り交ぜた記事構成ですから、対象となる業績観測報道を見分けるのは少しコツが要ります。決算記事などが揃う「投資・財務」のページで「○○社の前期経常益は●億円程度になったようだ(となったもようだ)」や「従来予想の●億円を上回りそうだ」など、結びの文句としては断定的なものではないですが、決算など会社側の発表内容よりも好意的な解釈が持てる内容を伝えています。

業績観測報道には、概ね会社側想定を上回る内容が多く、観測報道が伝わると株価もポジティブな反応が見られます。ただ、会社側想定を下回る「業績軟化観測報道」もあり、記事内容をよく読むことも重要です。

観測記事の掲載タイミングとしては、決算発表シーズンが中心です。対象企業の決算発表直前の「スッパ抜き記事」も多く見られ、決算シーズンにおける物色対象としてマークしておきたいところです。

次回は「調査機関の投資判断」について詳しく解説します。お楽しみに!

第54回調査機関の投資判断について・前編

前回では「業績観測報道」について解説しましたが、今回は「調査機関の投資判断」について紹介したいと思います。

文字通り株価材料となり得る「調査機関」による「投資の判断」ですが、金融系情報サイトの「レーティング情報」や個別銘柄の市況速報などで「A証券がB株の投資判断の引き上げが材料視された」などのニュースとして一度は目にした方も多いのではないでしょうか。

この場合の調査機関としては、主に「国内外の証券会社の調査部門」が該当します。もちろん独立系の調査機関もありますが、共通していることは、調査を行うのは資格を持つ「証券アナリスト」が判断を担うという点です、アナリストによる企業リサーチの結果「投資判断」が下されます。

「投資判断」の定義は、調査機関によって違いが見られます。最上級評価として、「強い買い」や「強気」などの日本語表記や「オーバーウエート」「バイ」「アウトパフォーム」などの英語表記、または数字での「1」や英字の「A」など様々。各社の基準によって「度合い」が変わってくるということです。

また、投資判断とともに「目標株価」が付与されるケースもあります。文字通り「目標」となる株価なわけですから、調査機関の意識する株価水準と見ていいのではないでしょうか。

次回も「調査機関の投資判断」について、より詳しく解説します。お楽しみに!

第55回調査機関の投資判断について・後編

前回では「調査機関の投資判断」について解説しましたが、今回も「調査機関の投資判断」について、株価材料としての影響を中心に紹介したいと思います。

さて、前回は「調査機関の投資判断」を簡単に説明しましたが、タイムリーに得るためには、その調査機関と情報提供契約を得るしかありませんが、発表後の判断の把握方法としては情報サイトでの「レーティング一覧」などで知ることができるでしょう。

ただ、株価の変動要因としては「発表された判断内容が素直に認識されるもの」のほか、前回からの「評価是正」が主な焦点となってきます。

これは投資判断が「新規の設定」によるものなのか、前回からの「引き上げ、引き下げ」によるものか、もしくは「継続」によるものかで、その調査機関の見方が変わってくるからです。

もちろん、新規の高評価な判断や前回からの評価引き上げは素直に好感されるケースが多いようです。逆に新規の低評価、前回からの評価引き下げも素直に悪材料視されます。ただ、評価継続であれば、すでにその評価は織り込まれているわけですから、出尽くし売りを誘うケースもあり得ます。

また、目標株価も引き上げ、引き下げも影響してきます。時価との「乖離」も判断材料として受け止められることも覚えておきましょう。

投資判断の発表タイミングとしては、決算後や決算説明会後に行われることが多いようです。これは発表業績の内容が再評価の契機となるほか、会社側が次期予想の進捗状況を決算説明会上で述べることもあり、業績推移のターニングポイントとなりやすいからでしょう。

注意すべきは、投資判断引き上げや目標株価引き上げによって、株価が大きく上昇した後です。バリュエーション(投資価値)から見て「割高」と判断すれば、業績好調にも関わらず、一転して投資判断や目標株価を引き下げるケースもあります。調査機関の投資判断をもとに手掛ける場合には、反応後の推移も観察しましょう。

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