【イールドカーブ】:いーるどかーぶ
前回にも紹介していた短期や長期などの国債利回りを順に並べた傾斜角度を指す。基本的には残存期間が長い債券ほど利回りが高くなり、X軸を償還期間、Y軸を利率としてグラフを作ると右肩上がりの曲線となるが、将来リスクを伴ってカーブに変動が見られるため、カーブの傾斜角度の変化がリスク指標として参考にされている。
利回り差が小さくなるとイールドカーブの傾斜が緩やか(フラット)になり、利回り差が拡大すると傾斜が急(スティーブ)になるため、将来リスクの変化が反映される。ただ、デフォルトリスクの接近や将来の金利低下(景気後退)を反映すると短期の利回りが急上昇し右肩下がりのカーブ(逆イールド)を形成することもあり、リスク上昇のサインとされている。
【TIPS】:ちっぷす
「Treasury Inflation-Protected Securities」の頭文字を取ったもので、アメリカの物価連動国債を指す。利付国債の利回りは固定だが、TIPSは物価連動に応じて利息が調整されるため、インフレに対応した国債と認識されている。
通常の利付国債と同じく、償還期間に応じて5年物から20年物まで4種類発行されており、TIPS利回りは利付国債の名目金利から将来の期待インフレ率を差し引いた実質金利に相当。金利差に着目した通貨間取引の目安となっている。
【CPI】:しーぴーえす
「Consumer Price Index」の頭文字を取ったもので、消費者物価指数を指す。消費者が購入するモノやサービスの価格を調査し、物価変動を指数化したもので、物価上昇率(インフレ率)の判断材料となる。
インフレ率と短期金利や国債利回りなど長期金利の差で名目金利が導きだされるため、金融政策に大きな影響を与える経済指標。株式相場よりも金利差に着目した通貨間取引で重要視される。
【PTS】:ぴーてぃーえす
英訳の「Proprietary Trading System」の頭文字を取ったもので、私設取引システムを指す。日本においては、公的な「金融商品取引所」を介さず有価証券を売買することが出来る「電子取引システム市場」と認識されている。
かつてはカブドットコム証券、マネックス証券、松井証券、大和証券など証券会社を中心に行われてきたが、現在ではSBI系列のジャパンネクストPTS、野村證券系列のチャイエックス・ジャパンの2つに限られており、やや下火となっているようだ。
【LIBOR】:らいぼー
「London Inter-Bank Offered Rate」の頭文字を取ったもので、ロンドン銀行間取引金利を指す。複数の有力銀行(リファレンスバンク)が貸し手として提示した11:00時点のレートを英国銀行協会が集計し、公表されるもので、期間に応じて1ヶ月物、3ヶ月物、6ヶ月物が設定され、資金調達コストの基準として用いられる。
主要通貨を中心に「10種類の通貨」で金利を算出。各通貨で上限4つと下限4つの金利を除いた、金利の平均値が公表される。LIBORとの比較が調達コストの割高・割安の判断基準となり、短期金利の国際指標ともなっていることから、英大手銀バークレイズを中心に不正操作事件も発生した。
【ブックビルディング】:ぶっくびるでぃんぐ
「book-building」として需要の積み上げを意味することから、金融業界では新株発行の際に引受証券会社が仮条件となる株価レンジを提示し、投資家が購入希望の株価と数量を申告することで発行株価を決める方式を指す。
新規公開株の公開価格を決める際にこの方式が用いられるほか、公募増資の購入意思として数量を申告する際にも用いられる。市場取引と分けて、投資家の需要動向を指すこともある。
【TIBOR】:たいぼー
「Tokyo Inter-Bank Offered Rate」の頭文字を取ったもので、東京銀行間取引金利を指す。前回の「LIBOR」がロンドン銀行間取引金利を指していたが、今回の「TIBOR」も午前11時時点における複数の有力銀行(リファレンスバンク)が貸し手として提示したレートを全国銀行協会が集計し、原則としては同日の正午(東京時間)に公表される。
無担保コール市場の実勢を反映した日本円TIBORと本邦オフショア市場の実勢を反映したユーロ円TIBORの2種類があり、「LIBOR」と同様に短期金利の国際指標ともなっている。
【TEDスプレッド】:てっどすぷれっど
米国債利回りとドル金利の差を指す。米国の短期国債3カ月物の利回りと、金利の国際的指標でもあるLIBORのユーロドル3カ月先物の差が用いられ、TEDは「T-BILL」のTと「EUR/USD」のEとDの頭文字を取ったもの。
金融市場に信用不安が拡大した場合、信用力の高い米国債が買われる傾向があり、国債上昇は利回り低下を及ぼす。また、信用コストを反映して銀行間取引金利が急上昇するため、金利差であるTEDスプレッドが拡大する仕組み。主に市場の不安心理を示すバロメーターとして活用されている。