【ロージャノミクス】:ろーじゃのみくす
ニュージーランドのデビッド・ロンギ政権で財務大臣を務めたロジャー・ダグラスを中心に1980年代で実施された経済政策を指す。これまで紹介した「レーガノミクス」や「サッチャリズム」と同じく、1980年代で実施された代表的な経済政策のひとつ。
貿易収支の悪化、財政赤字状態にあった当時のニュージーランド経済のなか、変動為替相場への移行、規制緩和・撤廃、補助金制度の撤廃、海外投資の自由化、保護貿易の撤廃など市場原理主義政策を実施。さらに行政改革も推し進め、痛みを伴う改革が中心となるも経済の立て直しに成功した。ただ、行き過ぎた改革のため国民の反発も強まり、政権交代を余儀なくされたが、現在のニュージーランド経済もロージャノミクスを土台とした自由貿易、規制緩和政策が中心となっている。
【クリントノミクス】:くりんとのみくす
米国のクリントン大統領が1990年代で実施した一連の経済政策を指す。1980年代のレーガノミクスが「小さな政府」を打ち出したのに対し、民主党のクリントン政権は政府の産業協力を拡大し、雇用の創出、経済競争力の強化など「大きな政府」を目指したもの。
経済政策では一定の効果を挙げ、財政赤字削減では30年近く続いていた連邦政府の財政赤字は1998年に解消され2001年まで黒字が続いたものの、歳出削減の目玉といわれた医療保険改革で支持は得られず、中間選挙で敗北。議会は共和党が主導権を握ったことで政権運営は停滞した一方、情報技術投資の重要性を打ち出していたことで、後の「ITバブル」の発生につながっている。
【ITバブル】:あいてぃーばぶる
1990年代後半に米国市場を中心に発生したインターネット関連企業の投資熱を指す。1999年から2000年にかけて株価の大幅上昇が確認され、IT関連ベンチャーの上場も相次ぐなど、テーマ性を伴った循環物色に発展した。ITバブルの名称は日本国内で用いられ、米国では「.com bubble(ドットコムバブル)」と呼ばれる。
情報技術投資の重要性を打ち出した米国のクリントン政権の「クリントノミクス」を追い風にインターネット関連投資が過熱。消費者と直接の商取引を可能にするeコマースも革命的と捉えられ、IT関連企業が数多く上場したナスダック総合指数は過去最高値の5,048ポイントを記録した。ただ、株価の割高感や過剰投資問題が表面化するとピークアウトし、大幅調整を伴った。
【日本の不動産バブル】:にっぽんのふどうさんばぶる
文字通り日本で発生した不動産バブルを指す。1986年12月から1991年2月までの4年3カ月間で株式や不動産など資産価値に急激な上昇が見られ、不動産投機熱や日経平均株価も1989年に最高値を形成することとなった。
発端は1985年のプラザ合意とされる。ドル安政策による円高是正の低金利政策、国内需要拡大を目指した積極的な公共投資、税率引き下げを行ったため、企業ほか個人も不動産や株式の「財テクブーム」が加速。資産効果による過剰投資がバブルをもたらした。
ただ、冷戦終結や総量規制、金融引締めを受けて行き過ぎた価格形成後は資産下落とともに投機意欲が減退。株式と不動産価格の急激な下落とともにバランスシート調整が長引き、金融機関も不良債権に苦しむなど、バブル後は「失われた20年」など深刻な景気後退が続いた。