株式用語辞典

【LME】:えるえむいー

「London Metal Exchange」の頭文字を略したもので、ロンドン金属取引所を指す。世界最大規模の非鉄金属専門の先物取引所で、銅・亜鉛・鉛・ニッケルなどが上場されている。

前回紹介した「CME」とともに、ここでの取引価格が国際価格をリードする役割を担っている。日本市場との関係性は薄いものの、市況関連を手掛ける際には貴金属価格動向を把握しておきたい。

【ティック回数】:てぃっくかいすう

過去に紹介した「ティック」が値動きの最小単位を指していたことから、その回数をカウントした「ティック回数」は約定回数と認識されている。

概ね出来高とリンクしており、低位株で回数が膨らみやすく、他の銘柄との比較より、同一銘柄の推移が参考となる。ただ、出来高が約定株数・ボリュームをそのまま反映するのに対して、寄り付きと引けの約定をそれぞれ1回とカウントする「ティック回数」は、場中の成り行き注文の回数を示すため、場中の盛り上がりを示す参考指標とされている。

【1月バロメーター】:いちがつばろめーたー

統計上、1月のS&P500指数がプラスで終われば、その年間のS&P500指数もプラスで終わることが多いことから、米国市場で伝わる株価上昇の「アノマリー(株価の規則的な現象)」を指す。

1950年以降、9割前後の確率で上昇が確認されており、米国市場の参加者からは1月相場の結果が注目されている。また、1月の最初の5営業日でS&P500指数がプラスで終われば、その年間のS&P500指数もプラスで終わることも8割前後の確率で確認されており、年始相場に注目する市場関係者が多いようだ。

【1月効果】:いちがつこうか

前回の「1月バロメーター」と同じく、米国で伝わる、株価上昇の「アノマリー(株価の規則的な現象)」の一つ。1月は小型株が大型株よりも騰がりやすいとされる現象を指す。

年始となる1月には「期初リバランス」が発生しやすく、株価は好調で推移するケースが多いため、大型株より投資効率の良い小型株が騰がりやすくなると分析されているようだ。

【スーパーボウル・アノマリー】:すーぱーぼうる・あのまりー

2月第1日曜日に行われる米国のプロリーグ・アメリカンフットボールのNFL王者決定戦・スーパーボウル結果における株価上昇の「アノマリー(株価の規則的な現象)」を指す。NFC代表(旧NFL所属)が勝つとダウ平均の年間上昇が多く、反対にAFC代表が勝つと年間下落が多いことから、8割前後の的中が観測されている。

古豪が多く所属するNFCはノウハウが蓄積されており、安定した実力を備えているほか、ファン層も厚く、収益がそのまま選手補強や設備投資に還元されやすいため、良好な景況感を反映する参考指標との見方がある。

ただ、スーパーボウルは1967年から行われ、安定的なインフレ下にある米国は1960年台後半のダウ平均が1000ドル未満から10倍以上の上昇率を記録するなど、概ね上昇結果が多いことから、NFC代表の勝利回数の多さにも結びついている。さらにAFCに移動した旧NFL所属チームも実力を有しており、スーパーボウル進出確率の高さから、そのまま上昇結果と認められやすい。

【ロンドンAIM】:ろんどんえーあいえむ

ロンドン証券取引所に設置されている新興企業向け市場を指す。AIMは「Alternative Investment Market」の頭文字を略したもので、世界で最も成功した新興市場と呼ばれる。

1995年の誕生以来、2007年のピーク1700社から減少しているものの、今も1000社以上の上場企業が存在。Nominated Advisor(通称Nomad)と言われるアドバイザーが取引所から委託された立場で上場希望会社の実質的な審査を行うため、自由度の高さが魅力となっている。さらにAIMに投資する個人投資家には優遇税制もあり、世界中からベンチャー投資を目的とした投資資金が集まっている。

【レーガノミクス】:れーがのみくす

米国のレーガン大統領が1980年代で実施した一連の経済政策を指す。景気後退と物価上昇のスタグフレーション状態にあった米国経済に対し、通貨高によるインフレ対応に加え、減税、軍事費拡大による歳出配分転換、規制緩和を実施した。

急激な軍事支出の増加と並行して行われた減税は、景気を刺激し東西パワーバランスの崩壊から東西冷戦を終結させ、通貨高はインフレ低下につながったものの、巨額の財政赤字と累積債務の劇的な増加をもたらし、より市場原理を中心とする新自由主義の台頭につながるなど、現在でも評価はわかれている。

【アベノミクス】:あべのみくす

「アベノミクス」:あべのみくす

自民党・安倍総裁が2012年末発足の第2次安倍内閣において掲げた一連の経済政策に対して与えられた通称を指す。前回紹介の「レーガノミクス」と同じく、政府首脳とエコノミクス(経済学)を組み合わせたもの。

金融当局の日本銀行法改正も視野に入れるなど、デフレ経済を克服するためのインフレターゲットを設定して、達成されるまで大胆な金融緩和措置を行う金融政策を1つめの矢とし、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を合わせた3本の矢を掲げている。

現在での経済効果は不透明だが、円安トレンド転換からの株価上昇を誘うなど、マーケットでは経済政策を好感する向きが多い。ノーベル経済学賞受賞者であるポール・クルーグマンやジョセフ・スティグリッツなど経済学者が評価する向きもある。

【サッチャリズム】:さっちゃりずむ

英国のマーガレット・サッチャー政権が1980年代で実施した経済政策を指す。これまで紹介した「レーガノミクス」や「アベノミクス」と同じく、政府首脳名を当てたものだが、エコノミクス(経済学)を組み合わせた名称と違い、小さな政府を目指し、規制緩和や政府系企業の民営化などを推し進めた政策運営から、構造改革転換の「ism」の「主義」が用いられている。

いわゆる「英国病」と呼ばれる強固な規制や産業の国営化などによる産業保護政策はイギリスの国際競争力を低下させ、経済成長を停滞させていたことから、保守党のサッチャー政権誕生とともに、これまでの高福祉政策を転換し大きな政府から小さな政府への転換を図り、経済成長を実現した。

ただ、長期政権を樹立したものの、規制緩和によって外国資本の参入を認めたことで国内企業の低迷、福祉政策の抑制で貧富の差が広がり、経済成長と同時に国民から非難を浴びる状況ともなった。同時期に国鉄、電電公社、専売公社などの民営化を実施し、長期政権を樹立した中曽根政権、郵政民営化など日本で構造改革を主張して長期政権を樹立した小泉政権との類似性を指摘する向きもある。

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