【アナリスト】:あなりすと
会社訪問や企業が開催する決算・会社説明会に赴き、企業の財務分析、業界分析を進め、株式の投資価値の分析・評価を行う証券アナリスト業務に従事する人を指す。実際には証券会社の調査部などに属してアナリストレポートを伝え、個人投資家、機関投資家、ファンドマネージャーの売買判断の参考にされる。
チャートに基づいた分析を行うテクニカルアナリストや債券分析を担うクレジットアナリストなども存在するが、一般的に株式市場に出回るレポートや投資判断は、証券アナリストが伝えることが多い。ただ、あくまでも調査結果に基づくレポートであり、投資判断や目標株価の内容を過信することなく、一つの目安として受け止めたい。
【ロング・ショート戦略】:ろんぐ・しょーとせんりゃく
割安銘柄のロング(買い)と、割高銘柄のショート(売り)を用いた投資運用戦略を指す。基本的には売り買いを交えたブルベア手法となるが、市場の影響度を押さえることを目的としたマーケットニュートラル戦略とは異なり、ある程度の相場観を反映させてポジションを調整していくのが特徴となる。
セクターのなかで、業績など先行きの方向性に明暗が分かれた特定銘柄の買いと売りを交えて用いるタイプや市場見通しに強気なときにロングポジションを重くし、弱気なときにショートポジションを積み増すなど、裁量的要素が強いとされている。
【バリュー戦略】:ばりゅーせんりゃく
英訳の「value」の意味でもある価値や評価に基づく運用手法を指す。具体的には、企業の実態面から本来の価値よりも安いと判断した銘柄を手掛け、市場平均を上回る収益率を目指すアプローチとなる。
バリュー株ファンドでは、ファンドマネージャーが株価指標でもあるPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などを用い、相対的に割安な銘柄を選定。ポートフォリオを構築していく。ロング・ショート戦略でもある割安銘柄のロング(買い)と、割高銘柄のショート(売り)を用いたリラクティブバリュー戦略もバリュー戦略の一環とされている。
【打診売買】:だしんばいばい
医者が患者の胸や背などを指先や打診器でたたき、その音で診察する「打診」の言葉の意味通り、相場付きを見極めるべく行う「試し売買」を指す。売り買い両面で打診買い、打診売りが行われるが、専ら買い増し、売り増し前提での第一陣の小口売買を指すことが多い。
先物相場では「試し玉(ためしぎょく)」と言われる手法が有名。相場付きを理解するには、実際に手掛けてみるのが一番早く、打診売買もその一環とされる。
【アルゴリズム取引】:あるごりずむとりひき
独自に設計されたコンピューターシステムが株式売買注文のタイミングや数量を分析しながら、自動的に売買注文を繰り返す取引のことを指す。機関投資家やヘッジファンドの活用が知られる。
大口取引を行う場合に、自らの取引によって株価が乱高下しないように売買注文を分散したり、また行き過ぎた株価の修正売買など、より有利な価格で約定を目的とされたが、過去にはプログラム取引が影響を強める要因となったブラックマンデーや2010年5月に米国市場で発生したフラッシュ・クラッシュなど、相場の調整要因とされることもある。
【大株主】:おおかぶぬし
持株比率の高い株主のことを指す。保有比率などで明確な定義はないものの、営業報告書には上位7名以上の記載がされており、会社四季報などでは上位10名の表記がされていることから、上位一桁の株主が対象とされる。
株主には会社の意思決定に直接的に関与する株主議決権が与えられるが、議決権が一定割合以上の株主だけが行使できる「議決権割合」によって区別される場合もある。株主総会で特別決議ができる、取締役を解任できる3分の2以上、経営権を取得でき、取締役を選任できる50%超、株主総会の特別決議を阻止できる3分の1以上、会社の解散を請求することができる10%以上などを行使でき得る保有割合が大株主の基準とも言える。
【買い下がり】:かいさがり
売買手法のひとつで、株価が下がった状態で下値を買い進めることを指す。以前に紹介した「難平買い」と同じく、平均購入単価を下げる目的があるが、「難平買い」が概ね下がってからの判断を指すことに対し、「買い下がり」は第一弾の買いから、更なる下値を買う意識を持ち合わせた戦略的意味合いが強い。
「買い下がり」の対象と成り得るのは、基本的に企業実態が良く、強い上昇トレンドにある銘柄やボックス相場にある銘柄。下落時に買い下がったとしても調整一巡後は再び上値追いや戻りに転じる期待が高く、結果的には押し目買いや逆張り的な下値拾いとなる。一方、下落トレンドにある銘柄では、戻りは限定的なうえ、際限なく下落していくことから、下落時の買い下がりが報われる可能性が低くなる。
【風説の流布】:ふうせつのるふ
株価変動を狙って虚偽の情報を流すことを指す。多くは「買い煽り」や「売り煽り」などポジショントークが過激になったものが発端となりやすく、結果的に虚偽の情報配信につながるケースもある。
風説の流布は金融商品取引法で禁じられており、違反者は懲役、もしくは罰金を料される。これらの風説に惑わされないよう、個人投資家の保護を目的に設置された金融庁の証券取引等監視委員会が監視業務を担っており、通報も可能となっている。近年ではインターネットで容易に株式情報を取得できる半面、個人の情報発信も容易となり、過激なポジショントークが風説の流布の対象となるケースも増えている。