初めての株式投資

第156回上場有価証券(ETN)について

前回は2回にわたって「不動産投資信託(REIT)」について紹介しましたが、今回は「上場有価証券(ETN)」について解説したいと思います。

第152回の「株式投資信託について」や第153回「2012年版 上場投資信託(ETF)について」、そして前回の「不動産投資信託(REIT)」など、上場企業株式以外の投資信託を中心に紹介してきましたが、今回の「上場有価証券(ETN)」もその一種となります。

過去の『今週の気になる株式キーワード』の「ETN」にて簡単に紹介していましたが、ETNは「Exchange Traded Notes」の頭文字を採ったもので「上場有価証券」と訳され、上場投信のETF(Exchange Traded Fund)と同じ位置付けとなっていますが、ETFが主に実物資産に対する上場投信とされるのに対して、ETNは実物資産の裏付けがなく、主に実物資産の担保となる発行債務証券が資産価値となっているのが違いでしょう。

「裏付けとなる現物資産を持たない」ことで、外国人への投資規制が存在する新興国株式や希少資源、時間の経過とともに劣化してしまう農産物など、ETFでは対応できない現物資産の保有が困難な対象指標にも連動を可能としているのが特徴となっています。

発行体の金融機関の信用力をもとに発行されているため、信用リスクが発生するものの、代わりに指標とETNの償還価額が連動するよう金融機関が保証するため、ほぼETFに近い感覚で取引することができるでしょう。

「上場有価証券(ETN)」を手掛ける際には、上場投資信託(ETF)と同じく、取引流動性を考慮しながら、商品特性の相場観に合わせて取引したいものです。

次回は「東証外国株市場」について解説します。お楽しみに!

第157回東証外国株市場について・前編

前回は「上場有価証券(ETN)」について紹介しましたが、今回は「東証外国株市場」について解説したいと思います。

「東証外国株市場」と耳にした場合、国内の上場企業株式を扱う「東証」と「外国株」と相反する意味合いがありますが、第151回「外国株式について」で紹介した海外市場上場の株式とは違い、一般的には東証に上場している外国株式売買を指します。

東証の外国部に関しては、あまり馴染みがないという方も多いかもしれませんが、実は東証が外国株市場を開設したのは昭和48年12月と古く、過去には外国株の市場運営にも力を入れていました。しかし、現在ではインターネットのネットワークを生かした24時間取引が主流となりつつあり、日本時間帯での売買も薄れてきたことから、上場企業数も減少傾向にあるなど、やや縮小傾向にあります。

ただ、東証での外国株の売買制度は基本的に日本株と同じ。円建てで売買ができるほか、信用取引も日本株と同じ基準を満たした銘柄について利用することが可能。国内株の売買経験者には、海外市場の上場株式を売買するよりもわかりやすいと言えます。

さらに、売買委託手数料も東証での売買となるため、国内株と同じく取引証券会社の手数料で済むほか、決算短信や会社情報、アニュアルレポートなどが「日本語」で入手することも可能。また、四季報にも企業情報が記載されており、国内株と同様の取引条件であると言えるでしょう。

次回も「東証外国株市場」について詳しく解説します。お楽しみに!

第158回東証外国株市場について・後編

前回は「東証外国株市場」について紹介しましたが、今回も「東証外国株市場」について詳しく解説したいと思います。

前回「東証外国株市場」とは、東証に上場している外国株式売買を指し、売買制度は基本的に日本株と同じだということを紹介しました。

今回では、2013年3月段階で取引可能な銘柄を紹介したいと思います。

まず、市場第一部に上場しているのが8社。そのうち6社が米国籍企業となっており、ダウ平均の構成銘柄で金融大手のJPモルガン・チェース<8634>、バンク・オブ・アメリカ<8648>のほか、シティグループ<8710>の銀行業、AIG<8685>、アフラック<8686>の保険業と金融関連が占めています。

また、化学業のダウ・ケミカル<4850>までが米国籍企業、あとはマレーシアの建設業でワイ・ティー・エル<1773>、韓国の鉄鋼大手・ポスコ<5412>などが所属しています。

また、マザーズの外国株は、英国籍のジャパンインベスト<3827>、英領ケイマン諸島の新華ホールディングス<9399>でともに情報通信業に属し、2銘柄の取引が行われています。

計10銘柄の取引が可能ですが、やはり情報不足のデメリットもあり、経験の少ない方は取引を見送ったほうが無難でしょう。まずは投資経験を積み、情報を収集したあとで、投資妙味があるならば、取引にチャレンジしてみたいところです。

次回は「プロ向け市場」について詳しく解説します。お楽しみに!

第159回プロ向け市場について

前回は「東証外国株市場」について紹介しましたが、今回は「プロ向け市場」について解説したいと思います。

「プロ向け市場」は、その名の通りに「プロ向け」に設けられている市場で、一般の個人投資家は取引のできない市場となりますが、投資信託等を通じて取引するケースもあり、市場紹介を行いたいと思います。

現在国内にある「プロ向け市場」は、2008年の金融商品取引法改正により導入された「プロ向け市場制度」に基づき、東証が設立した株式市場の「TOKYO PRO Market」と債券市場の「TOKYO PRO-BOND Market」が該当。直接買付けが可能な投資家は、特定投資家及び非居住者に限られており、主に機関投資家や上場企業などが対象となっています。

ロンドン証券取引所が運営する「ロンドンAIM」をモデルとしており、1600社以上が上場しているAIMの上場制度を手本としていましたが、現在の上場企業はメビオファーム<4580>、五洋食品産業<2230>、新東京グループ<6066>の3銘柄に留まっており、活発な売買が行われているとは言えません。

目に触れるケースも限られますが、新規公開株のIPO情報などに市場区分で「TOKYO PRO Market」を記されている場合もあり、取引が行えない銘柄として認識しておきましょう。

次回は「優先株」について詳しく解説します。お楽しみに!

第160回優先株について

前回は「プロ向け市場」について紹介しましたが、今回は「優先株」について解説したいと思います。

「優先株」とは、企業収益もしくは利息の配当または破綻時の残余財産の分配に関して、他の種類の株式よりも優先的に受け取ることができる地位が与えられた株式を指します。その名の通り普通株よりも立場が「優先された株式」と認識して構いません。

ただ、優先株にも分配に関して優先されている分、株主総会における議決権に制限を加えることもできるなど、柔軟な条件が組み入れられたものもあり、普通株式への転換が可能になるなど、さまざまな種類があります。

また、多くの優先株式は、自己資本比率を高めたり公的資金の注入を受けたりする事業再生目的が多く、大企業及び都市銀行が発行し、同じく大企業および都市銀行、ならびに政府(あるいは整理回収機構)が保有している場合がほとんどです。これら優先株式は普通株式に転換されるケースが多いため、転換時には需給悪化要因として受け止められることも多いでしょう。

個人投資家には、あまり普段に接することのない「優先株」ですが、実は個人投資家でも売買可能な優先株は存在します。東証1部に上場している伊藤園<2593>の第1種優先株式<25935>が該当。1株につき、普通株式への1株あたり配当金額の125%を支払う優先条件がある代わりに、株主総会において議決権を行使することができませんが、普通株式よりも多く配当を得ることができます。

普通株式よりも利回りが高くなるため、配当狙いで投資するならば有力な投資対象となります。ただ、普通株式よりも流動性が低いため、取引の際には流動性リスクを考慮しましょう。

次回は「債券」について詳しく解説します。お楽しみに!

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