初めての株式投資

第146回公募増資・売り出しについて

前回は「ブックビルディング」について紹介しましたが、今回は「公募増資・売り出し」について解説したいと思います。

前回解説した「ブックビルディング」は、企業が新株を発行する際に引受証券会社が仮条件となる株価レンジを提示し、投資家が購入希望の株価と数量を申告することで発行株価を決める方式を指すことを紹介していたと思います。

その前回に紹介した「PTS取引」とともに「ブックビルディング」は個人投資家が市場外で取引可能な売買となりますが、今回解説する「公募増資・売り出し」も、このブックビルディングに参加することで、株式購入が可能となる投資対象です。

「公募増資・売り出し」と分けて紹介していますが、「公募増資」は企業が新たに新規株式を発行して、投資家に販売して資金調達を行う手段で、もう一方の「売り出し」は、発行済みの株式で企業側や大株主が保有している株式を投資家に販売して、資金調達を行う手段と理解してください。

「公募増資・売り出し」を介して株式を購入するには、取引している証券会社が引受証券となっている必要があります。また、好きな企業の株式を自由に購入できるわけではなく、設定されたブックビルディング期間内(購入意思表示期間内)ですでに発行条件が示されている企業株式が対象となります。

ただ、すでに上場している企業の株式ですから、新規上場株式よりは馴染みのある企業の株式と言えるのではないでしょうか。また、発行価格は時価よりディスカウントされているケースが多く、割安な株価で取得できます。

取引証券会社でブックビルディング情報があり、購入可能な「公募増資・売り出し」があれば、条件等を考慮しながら、投資妙味があるかどうかを判断して、投資妙味が高ければ、購入意思を示してみるのも良いでしょう。もちろん、投資家の購入意思が高ければ(人気化があれば)、抽選で外れる場合もあり、必ず購入できるとは限らないことを覚えておきましょう。

次回は「新規上場株式」について解説します。お楽しみに!

第147回新規上場株式について

前回は「公募増資・売り出し」について紹介しましたが、今回は「新規上場株式」について解説したいと思います。

145回で解説した「ブックビルディング」では、企業が新株を発行する際に引受証券会社が仮条件となる株価レンジを提示し、投資家が購入希望の株価と数量を申告することで発行株価を決める方式を指していました。前回紹介した「公募増資・売り出し」のほか、今回解説する「新規上場株式」の発行価格の決定でも用いられています。

前回紹介した「公募増資・売り出し」は企業の資金調達手段でしたが、今回紹介する「新規上場株式」も、企業の資金調達手段となっています。

大きな違いは、その名の通りに新規に上場する株式となり、既上場の「公募増資・売り出し」とは違って、まだ一般に流通していない株式が購入対象となる点でしょう。別名の「新規公開株(IPO)」とともに一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

「ブックビルディング」によって公募価格が決定するのは、前回紹介した「公募増資・売り出し」と同じです。もちろん自由に新規公開株を購入できるわけではなく、設定されたブックビルディング期間内(購入意思表示期間内)で新規上場、発行条件が示されている企業株式が対象となります。

ただ、馴染みのある企業の株式と違い、新規上場株式の企業情報は限定的。さらに株式の時価はなく、公開価格が割安か割高かの判断もつけにくいのではないでしょうか。

取引証券会社でブックビルディング情報があり、購入可能な「新規上場株式」があっても、過去に「新規公開株(IPO)」を売買した経験がなければ、まずは見送った方が賢明でしょう。もちろん、投資経験を積み、対象企業に投資妙味が高いと判断できれば、購入意思を示しても構いません。

次回は「IPOバブル」について解説します。お楽しみに!

第148回IPOバブルについて

前回は「新規上場株式」について紹介しましたが、今回も「新規上場株式」に関連した「IPOバブル」について解説したいと思います。

前回解説した「新規上場株式」では、その名の通りに新規に上場する株式となり、既上場の「公募増資・売り出し」とは違って、まだ一般に流通していない株式が購入対象となる点となることを紹介していました。

そこで、馴染みのある企業の株式と違い、新規上場株式の企業情報は限定的。さらに未上場株式のため株式の時価はなく、公開価格が割安か割高かの判断もつけにくいことを紹介していたと思います。

その影響で発生する株価推移が今回紹介する「IPOバブル」です。

「新規上場株式」の上場日には、公募価格からの気配値運用の結果、初値と呼ばれる株価が付けられることから、まだ一般に流通していない株式を求めようとするニーズが強ければ、初値が公募価格を大きく上回るケースも出てきます。

よって、企業の成長性や業態評価が高く、そして公募・売り出しの株数が少なければ、品薄妙味を伴った割高な初値形成から、需給妙味による株価上昇を演じるケースも出てきます。これが「IPOバブル」と呼ばれるもので、企業評価を上回る株価形成がしばしば起こります。

この「IPOバブル」が発生すれば、企業価値に即した「投資」よりも積極的に値上がり益を求めようとする「投機」の側面がより強まります。よって、企業価値を見極めるより、売買手法如何で投資収益が変わってくるため、万人向けの取引対象ではなくなるのではないでしょうか。

前回でも「過去に『新規公開株(IPO)』を売買した経験がなければ、まずは見送った方が賢明でしょう」と紹介していたのもそのためで、対象企業に投資妙味が高いと判断できるほどの投資経験を積んだ方ならば、リスクと向き合いながら購入意思を示しても構いません。

もちろん、取引証券会社でブックビルディング情報があり、購入可能な「新規上場株式」があることが条件となります。「公募増資・売り出し」と同じく、投資家の購入意思が高ければ(人気化があれば)、抽選で外れる場合もあり、必ず購入できるとは限らないことを覚えておきましょう。

次回は「立会外分売」について解説します。お楽しみに!

第149回立会外分売について

前回は「新規上場株式」に関連した「IPOバブル」について紹介しましたが、今回は「立会外分売」について解説したいと思います。

前回まで「ブックビルディング」方式で値決めの行われる「公募増資・売り出し」「新規上場株式」など、市場外取引での株式取得方法を紹介していましたが、今回紹介する「立会外分売」も市場外取引での株式取得方法のひとつです。

「立会外分売」は、その名の通り「立会外」で「分売」される株式を指し、大株主などの売り注文を、多数の投資家に分けて売ることで、投資家数の拡大や流動性の向上などを目的に実施されます。

「公募増資・売り出し」との違いは、「ブックビルディング」での価格決定が行われず、予め分売条件となる株数や購入価格が決められている点でしょう。「公募増資・売り出し」でも解説したように、取引している証券会社が引受証券となっている必要があり、好きな企業の株式を自由に購入できるわけではありませんが、購入価格は時価よりディスカウントされているケースが多く、割安な株価で取得できます。

また、投資家数の拡大や流動性の向上などを目的に実施されることが多いため、将来的には「市場替え」や「指定替え(昇格)」が期待できる銘柄が含まれているともいえ、対象企業が投資妙味があるかどうかを判断して、投資妙味が高ければ、購入してみるのも良いでしょう。

次回は「単元未満株」について解説します。お楽しみに!

第150回単元未満株について

前回は「立会外分売」について紹介しましたが、今回は「単元未満株」について解説したいと思います。

『いまから始める株投資、基本の基本』の第11回、第12回で「単元株」について解説。単元株が「最低売買単位」となり、一単元に満たない株数を「単元未満株」と呼び、保有していても市場での株式売買や株主総会での議決権を行使できないことを紹介していたと思います。

ただ、株式分割などで「単元未満株」の保有が生じ、証券会社を通じて単元未満株の買い取りや買い増しを行えることも紹介していましたが、証券会社のサービスで「単元未満株」の取引を単元株数の十分の一で売買できる「ミニ株」や十分の一以下の「S株」として独自に行なっている場合もあります。

ただ、買い付けタイミングに制約があるなど、証券会社独自の取引ルールもあり、手掛ける前には取引条件を確認しておく必要があります。事実上の市場外取引となりますが、「単元未満株」を買い集めることで「単元株」にすることができるなど、分散投資や少額の資金で売買ができるメリットもあり、活用を検討してみるのも良いのではないでしょうか。

次回は「外国株式」について解説します。お楽しみに!

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