初めての株式投資

第41回スキャルピングについて

前回では「短期投資」における「スイングトレード」を解説しましたが、今回は「短期投資」における「スキャルピング」について紹介したいと思います。

「スキャルピング」とは、ごくわずかな値幅を狙って売買を繰り返す、最も短い投資時間軸のトレード方法を指します。「スキャルピング」の元となる「スカルプ」は英語の「Scalp」で、頭皮を意味することから、頭皮の薄皮を剥ぐような薄利を積み重ねる手法として呼ばれるようになりました。

数ティック(値動きの単位)を抜く利ザヤ稼ぎの手法となりますから、ほぼ株価の動きのみを見てトレードを繰り返します。当然、企業の実態面は取引材料になりません。株価のボラティリティや出来高などが銘柄選びの根拠となります。

仕掛ける際には、分足を中心としたチャートが主な手掛かりとなります。また、株式投資においては、過去の約定価格・出来高を示す「歩み値」や指し値注文の状況を把握できる「板情報」も重要な情報でしょう。

「スキャルピング」は、ネットトレードの普及とともに現れた新しい投資手法のように感じられますが、実は証券業界では「1円で買って2円で売る」『1
カイ2ヤリ』と呼ばれたディーリング手法と同様のものです。

「スキャルピング」で安定した収益を上げるためには、とにかく経験を積み、自分に合った指標を見つけることが重要になります。同じ銘柄を手掛ければ、独特の癖なども見つかることから、勝率も自然と上がってくるでしょう。

次回は「ポジショントレード」について詳しく解説します。お楽しみに!

第42回ポジショントレードについて

前回では「短期投資」における「スキャルピング」を解説しましたが、今回は「ポジショントレード」について紹介したいと思います。

「ポジショントレード」を紹介する前に、まずは「ポジション」について解説したいと思います。「ポジション」は英語の「position」の意味そのままに、
ビジネス分野では地位や役職、スポーツにおける守備位置などに使われますが、投資における「ポジション」とは、買い建てや売り建ての「持ち高」を指します。

つまり「ポジショントレード」とは、相場環境の変化に沿って、保有銘柄を適時調整していく手法が主体となります。今後相場が上昇すると思えば「買い」、相場が下落すると思えば「売り」、先行き不透明ならば「現金保有」などを選択。地合いに左右されずに利益を追求していくスタンスです。

前回までは、短期から長期に至る「投資の時間軸」に着目した投資アプローチを紹介していましたが、ポジショントレードでは時間軸も含めた「先行きを読む」=「相場観」が最も重要となってきます。

売買の判断材料となるのは、経済環境の変化を示す「経済指標」や季節性要因、市場のボリューム推移などが手掛かりとなります。また、市場参加者の投資家心理を踏まえて、裁量的に売買判断を下していかなければなりません。さらに、東京市場も米国市場や為替相場の影響が避けられませんから、他の市場の変化を見極める目も必要でしょう。

投資手法としては、やや難しい説明になりましたが、普段のショッピングやレジャーなどでも「この割引サービスはいつもより安いな!」「この新商品はまだ高いから見送りだな…」など、自然と裁量的に売買判断を下しています。これらを株式投資として置き換えればいいわけですから、経験を積めば自然と身に付いていくのではないでしょうか。

次回は「株価材料」について詳しく解説します。お楽しみに!

第43回株価材料について

前回では「ポジショントレード」を紹介しましたが、今回は「株価材料」について解説したいと思います。

株式市況ニュースを見ると「急騰したA株は昨日発表の決算が材料視された」や「B株の上昇は新聞報道が材料となった」などと目にする機会が多いように思います。「材料」を国語辞書で調べると「相場を動かすような要因」とも記されているように「株価の変動要因」として使われます。

主に株価上昇につながる材料のことを「好材料」。株価下落につながる材料を「悪材料」として用いられます。ただ、材料の内容が悪くとも「アク抜け」によって株価上昇につながることも多く、好材料か悪材料かの判断は反応後に与えられるものです。

前回まで基本的な株価指標やテクニカル指標などを紹介してきましたが、それらも株価の変動要因となる「材料」のひとつです。しかしながら、市場参加者の多くが認識する「材料」とは、マクロの経済指標の影響を除くと、企業側から発信されるIR(投資家向け広報)、新聞などの報道、調査機関の投資判断などが挙げられます。

次回は「株価材料」のひとつでもある「IR(投資家向け広報)」について詳しく解説します。お楽しみに!

第44回IR(投資家向け広報)について

前回では「株価材料」について解説しましたが、今回は「株価材料」の「IR(投資家向け広報)」を詳しく紹介したいと思います。

IR(投資家向け広報)は、以前にも「今週の気になる株式キーワード」で取り上げたことがあり、英文(Investor Relations=インベスター・リレーショ
ンズ)の頭字語を取ったもので、「上場企業が投資家に向けて経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信することを指す」という意味を理解している方も多いと思います。

「IR活動」は、投資家に企業内容を正確に伝え、株式評価を高めながら資金調達など財務活動を円滑にするのが主な目的ですが、市場参加者としては、発表内容を「短期的な材料」と捉え、開示直後のトレードタイミングと見る向きも多いのではないでしょうか。

IR情報には、事業面での業務提携や資本提携、新市場進出や新製品発表のほか、決算、増額修正など定期的な業績面の開示や株式分割や自社株買い・消却など資本面に至るまで様々です。小売業などでは、毎月決められた日に月次成績を明らかにする企業もあります。

もちろん、全てが株価変動要因になるわけではありませんし、発表内容だけでは好材料・悪材料と判断できるものでもありません。ただ、発表後の株価変動を睨んで、買いが売りか見送りかを判断する必要があります。

発表は、個別企業のホームページや東証など証券取引所の「適時開示情報閲覧サービス」でタイムリーに確認できます。取引時間中の開示も多く、短期的な株価変動に敏感なデイトレーダーなどは、株価ボードなどと同様に「適時開示情報閲覧サービス」にも気を配っています。

次回は「IR(投資家向け広報)」の一種「決算発表」について詳しく解説します。お楽しみに!

第45回決算発表について

前回では「株価材料」の「IR(投資家向け広報)」について紹介しましたが、今回も「IR(投資家向け広報)」の一種でもある「決算発表」を詳しく解説
したいと思います。

決算とは、一定期間の収支をまとめる作業の事です。数値内容をまとめた「決算短信」では株主や投資家に対する企業の実態報告として、株価の変動要因の最たるものと位置付けられています。納税作業を行う個人事業主や未上場企業でも行われていますが、今回は上場企業の発表事項として説明します。

証券取引所に株式を上場している企業は、決算発表を行う「義務」があり、東証によって四半期決算が義務化された2008年4月以降は、3ヶ月に1度の発表が義務付けられました。

詳しくは「決算短信」を一度見ていただきたいのですが、集計期間の売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、一株当たりの当期純利益などの経営成績や総資産や純資産などの財政状態。キャッシュフローや配当状況、そして次期業績予想がまとめられていると思います。

決算発表後の株価を予測するときの判断材料となるのが、集計期間の経営成績と次期予想が一般的です。財政状態やキャッシュフローも材料となりますが、経営成績に比べて変動率に乏しく、主に経営成績や配当状況に注目が集まります。

ただ、好調な経営成績を明らかにしたとしても、その好業績期待が発表前の株価に織り込まれていれば、発表後の反応は乏しくなります。また、内容によっては、失望感につながるものもあり、事前の株価推移や市場に伝わっている「コンセンサス予想」を把握しておく必要があるでしょう。

また、集計期末の本決算発表においては、来期予想が明らかとなります。この来期予想が企業の成長性を示す指標となることから、株価変動要因として強く認識されます。

優れた企業を見つけ出したとして、決算発表を変動要因と見て先回りするためには、決算発表日を予め把握しておく必要があるでしょう。決算発表日を調べるには、証券会社の一覧発表や企業に直接問い合わせてみる方法が一般的です。

次回も「IR(投資家向け広報)」の一種「業績予想修正」について詳しく解説します。お楽しみに!

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