初めての株式投資

第26回信用貸借区分について

前回では「配当金の株価指標」の「配当性向」を紹介しましたが、今回では信用取引における「信用貸借区分」を説明したいと思います。

信用取引については、第5回の「ネット株 信用取引について」で「証券会社からお金を借りて、手元の資金より大きな金額での売買が可能になる取引」と紹介しました。

取引を行うには、審査によって知識や投資経験を問う「信用取引の知識・経験」や「委託保証金」などが必要ですが、現物取引と同様に株式を購入する「信用買い」だけでなく、保有株がなくても売りから取引を行える「信用売り」が行えるのも大きなメリットとなります。

ただ、すべての銘柄で信用取引が行えるわけではありません。そこで、今回紹介する「信用貸借区分」が信用取引の可否を判断するポイントとなってくるわけです。

まず、信用貸借区分で「貸借」と表示される銘柄。これは、信用取引のために株や資金の貸出しを専門に行っている証券金融会社からの貸株が認められた「信用売り(空売り)可能な銘柄」になります。ボリュームなど、証券取引所が設けた一定の基準を満たした銘柄に与えられるものです。

続いて、信用貸借区分で「信用」と表示される銘柄ですが、証券取引所が設けた基準には満たないものの、証券金融会社を通じ取引所が金利や期日などを定めた「信用買い」のみが行える銘柄となります。したがって、「信用売り」はできません。

最後に、信用貸借区分での表示がないもの。これは制度信用取引が行えません。ただし、信用取引のために株や資金の貸出しを専門に行っている証券金融会社を介さず、取引を仲介する証券会社との「一般信用取引」では「信用買い」取引が行える場合がありません。

また、「一般信用取引」では信用貸借区分で「信用」と表示されている銘柄でも「信用売り」が行える場合もあります。これは証券会社の「独自ルール」によるものですので、取引を行っている証券会社の一般信用取引の採用銘柄を確認してみてください。

次回は「株価指標」のうち「PER」について詳しく解説します。お楽しみに!

第27回株価指標について・PER(株価収益率)

前回では信用取引における「信用貸借区分」を解説しましたが、今回では「株価指標」のひとつでもある「PER(株価収益率)」を説明したいと思います。

株価指標については、以前に配当金の指標でもある配当性向や配当利回りを紹介しました。今回の「PER(株価収益率)」は文字通り日々変動する株価と企業が明らかにした収益を参考に指標化したものです。

PERは「Price Earnings Ratio」の頭文字からの略称。株価が一株当たり当期純利益の何倍まで買われているのかを示すもので、計算方法は株価を「一株当たり当期純利益」を割った倍率で求め、単位は「倍」で表されます。

また、株式価値総数の時価総額と当期純利益総額でも求められますが、計算桁数が大きくなるため、「株価÷一株当たり当期純利益」で計算する方法が一般的でしょう。

PER(株価収益率)が高いほど、利益に比べ株価が割高であることを示し、逆に、株価収益率が低いほど、株価が相対的に低いことがわかります。株価の割安・割高を推し計るものですから、集計期の業績変化で発生する変動や業界平均値との比較で有効性を発揮するものです。

欠点としては、特別損失の計上などで「当期純利益」に変動が生じた場合や事業環境の大きく異なる他業種との比較では意味をなさない点です。また、新興市場銘柄は数年先の企業収益成長の織り込まれた高倍率となることが多く、割安・割高で示されるPERでは「●倍以上だから割高、●倍以下だから割安」など明確な基準がないことも覚えておきましょう。

したがって、ある程度の収益成長を実現し、企業業績の安定した銘柄を対象に用いれば効果的です。全体相場とともに変動した株価との対比や決算発表での予想数値で過去との比較が行えることから、次期の業績予想に対する株価の割安・割高が見極められます。

また、同一業種に属し、企業規模が近い大型株の比較でも有効でしょう。例えば、自動車や電機メーカー、商社、不動産、銀行、鉄鋼、医薬品などで事業規模の近い銘柄で比較してみてください。

次回は「株価指標」のうち、「PBR(株価純資産倍率)」について詳しく解説します。お楽しみに!

第28回株価指標について・PBR(株価純資産倍率)

前回では「株価指標」の「PER(株価収益率)」を説明しましたが、今回も「株価指標」のひとつでもある「PBR(株価純資産倍率)」を紹介したいと
思います。

PERは「Price Earnings Ratio」の略称でしたが、今回紹介するPBRも「Price Book-value Ratio」の頭文字を取ったものです。PERは、株価が一株
当たり当期純利益の何倍まで買われているのかを示すものでしたが、PBRは株価が「一株当たり純資産」の何倍まで買われているのかを表しています。

計算方法は「株価÷一株当たり純資産」の倍率算出です。株式価値総数の時価総額と株主資本となる純資産を割っても求められます。PBR(株価純資産倍率)が高いほど、資産価値に比べて株価が割高であることを示し、逆に低いほど割安だと判断できるでしょう。

純資産は、会計上の解散価値と同等となることから、PBRが1倍を割り込むことは「企業の解散価値以上に株価が下落している」とも判断できます。借金でもある有利子負債に依存せず、財務内容が良好ならば「PBR1倍未満の企業株式を買い占める(買収)すると純資産売却でお釣りが来る」状態となり、有力な買収対象となります。

ただ、多くの企業は自らが買収対象となることを望みませんし、PBR1倍未満の状況を回避すべく、積極的に株価対策を行う期待があります。したがって、無借金経営の企業など、財務面に不安がない銘柄ならば「PBR1倍未満は割安」と判断していいでしょう。

PBRは資産評価ですから、PERのように収益を反映したものではないため、「評価余地」よりも「下値メド」を推定するのに適しています。また、PER
が特別損失・利益によって、異常値になった場合の補完的な尺度としても有効ではないでしょうか。

次回は将来の株価変化を予想するための「分析手法」を解説します。お楽しみに!

第29回分析手法について

前回では「株価指標」の「PBR(株価純資産倍率)」を紹介しましたが、今回では将来の株価変化を予想するための「分析手法」を解説したいと思います。

「分析手法」には、「株価指標」などを用いた企業や経済環境を踏まえた「ファンダメンタル分析」と過去に発生したデータを基にパターンを読み取る「テクニカル分析」が有名です。

「ファンダメンタル分析」と「テクニカル分析」。どちらも長所、短所があり、優位性があるかは議論の分かれるところですが、個人投資家ならば、どちらにも過度に傾注せず、柔軟に「どちらも使う」のが望ましいのではないでしょうか。

なぜなら、英国の経済学者ケインズによる「株式投資は美人投票である」という有名な言葉が示す通り、株価は集団での売買結果で変動します。需給関係が意味を成すことから、「個人の判断」ではなく、「多くの市場参加者の思惑」を反映した動きとなるでしょう。

「ファンダメンタル分析」であれば、以前に紹介した配当や株価指標は投資するうえで必ず押さえておきたい分野ですし、「テクニカル分析」でも株価チャートでのローソク足の見方や移動平均線など、多くの市場参加者が重要視するものは把握しておいたほうが望ましいのではないでしょうか。

また、ファンダメンタル分析は企業実態の把握を重要視したものですから、「銘柄選別へのアプローチ」に秀でており、テクニカル分析は市場心理の変化を捉えるポイントから「売買タイミングを図る」のに適している、とも判断できます。

まずは、自分に合った分析手法を選ぶのが、株式投資を有利に進めるうえで必要となってくるのではないでしょうか。

次回は株価チャートを用いた「テクニカル指標」を解説します。お楽しみに!

第30回テクニカル指標について

回では「テクニカル分析」の代表的な指標を紹介したいと思います。

「テクニカル指標」を導き出す基本的なツールとしては、株価チャートが用いられることが多いのではないでしょうか。日本ではローソク足、海外ではバーチャートが一般的だと言われています。

どちらも分足、日足、週足、月足などの時間軸に対応。日足では日中の始値、高値、安値、終値の「四本値」を記載していますが、より視覚的な効果が高いのは、陽線、陰線などで色付けしているローソク足チャートではないでしょうか。

また、国内外ともに移動平均線(Moving Average)も重要視されることが多いようです。短期から中長期まで幅広い時間軸で使用できることから、柔軟性が高く、トレーダーから中長期投資家まで支持を集めています。

さらに、売買サインを読み解くテクニカル指標を細分化していくと、トレンドに沿った「順張り型」とトレンド転換点を示唆する「逆張り型」に分かれてい
きます。

また、テクニカル指標と向き合ううえで重要なのは「ダマシ」の存在です。「完璧な指標はない」と割り切って、自分に合った指標を見つけるのが「テクニカル分析」のポイントとなります。

次回は「テクニカル指標」のうち、「ローソク足」を解説します。お楽しみに!

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