初めての株式投資

第161回債券について

前回は「優先株」について紹介しましたが、今回は「債券」について解説したいと思います。

「債券」とは、第66回「債券市場との関係について・前編」と第67回「債券市場との関係について・後編」でも解説したように、発行体が資金調達する際に発行する「証書」をもとに「償還日」に向けて債券保有者に「償還金を返すことが約束されている有価証券」を指します。

債券市場では、新たに発行される「新発債」が購入される発行市場とすでに発行済みの「既発債」を売買する流通市場があることを紹介。取引対象となるのは公募(広く一般の人を対象に債券を発行する方法)発行分となっています。

また、株式市場を取り扱う「東証」で国債先物(JGB)が行われており、リスク退避の流れとなれば「債券買い(利回り低下)」で「株式下落」、リスク選好となれば「債券売り(利回り低下)」で「株式上昇」となり、逆相関の関係にあることも紹介していました。

今回紹介する「債券」は、現物市場で国債や転換社債などを売買できる取引所市場、相対売買中心の店頭市場を簡単に紹介したいと思います。

現在、東京証券取引所に上場されている債券は、転換社債と国債の一部のみで、実は売買高は証券会社の店頭における売買高の数%に過ぎません。主要な取引は証券会社を通じた店頭売買が中心となります。

よって、取引している証券会社から、新たに発行される「新発債」の案内を一度は目にしたことがあるかもしれません。

また、すでに発行されている債券「既発債」を購入、売却したい場合には、証券会社を通じて売買を行うことになります。証券会社の店頭で相対で行われた債券の価格は、日本証券業協会が毎日集計しており、店頭売買参考統計値として、日本証券業協会のホームページに公表されています。興味がある方は一度チェックしてみてはいかがでしょう。

債券は一般的に株式より安定性の高い金融商品として認識されています。インカムゲイン狙いで投資するならば有力な投資対象となりますが、やはり株式よりも流動性が低いため、取引の際には流動性リスクを考慮しましょう。

次回は「転換社債型新株予約権付社債(CB)」について詳しく解説します。お楽しみに!

第162回転換社債型新株予約権付社債(CB)について

前回は「債券」について紹介しましたが、今回は「転換社債型新株予約権付社債(CB)」について解説したいと思います。

「転換社債型新株予約権付社債(CB)」とは、過去の『今週の気になる株式キーワード』や弊社ホームページでの株式用語辞典で紹介しているように、社債に新株予約権が付された形態で発行される債券を指し、CBも英訳「convertible bond」の頭文字を略したものです。

前回紹介した「債券」など普通社債では、償還時に利子を含めた資金が投資家に返還されるのに対し、転換社債型新株予約権付社債では、株式を一定の条件で取得するための新株予約権を付与し、新株予約権の行使があると、社債部分の金額が、株式として払い込まれたとみなされるのが特徴となっています。

新株予約権の行使によって発行される株式数や、行使期間が設定されているものの、予約権行使による新株発行は一株利益の希薄化につながることから、既存株主から嫌われることが多い転換社債型新株予約権付社債ですが、発行者が上場会社であり、発行額面総額が20億円以上の転換社債型新株予約権付社債は東証に上場し、取引可能な銘柄もあります。

東証ホームページの「CB上場銘柄一覧」に上場銘柄が確認できますが、昨年末段階で17銘柄程度とあまり多くはありません。また、取引可能な証券会社も限られており、個人投資家としても手掛けるチャンスは限られるのではないでしょうか。

次回は「新株予約権証券」について詳しく解説します。お楽しみに!

第163回新株予約権証券について

前回は「転換社債型新株予約権付社債(CB)」について紹介しましたが、今回は「新株予約権証券」について解説したいと思います。

「新株予約権証券」とは、発行会社の株式を一定の価格(行使価格)で、定められた期間内(行使期間)に、取得できる権利を持つ有価証券を指します。前回紹介した「転換社債型新株予約権付社債(CB)」は社債形式でしたが、実質的に新株予約権を行使して、一定の行使価格を払い込むことで、会社に新株を発行させることができる権利が証券形式で流通することになります。

したがって、既存株主は新株予約権を行使する(権利行使価額の払込みを行う)ことで持分割合の維持、新株予約権を行使しない(増資に応じない)ことで持分割合の希薄化を軽減できるほか、投資家も株価と新株予約権価値の差で有利な株式取得が可能になります。

一方、上場企業は株主が増資に応じない場合には、その権利が消滅(失権)するのみで、十分な資金調達を行うことができませんが、新株予約権証券を上場することにより、増資に応じない株主がいた場合でも、新株予約権を新たに取得した投資家による払込みを期待することができるため、メリットの大きい資金調達手段となります。

この既存株主に対する新株予約権の無償割当となる「ライツ・イシュー」は、公募増資や第三者割当増資に比べ株主の利益の目減り分を抑制できる増資手法として欧州で一般的に利用されています。

ただ、国内での実施は非常に稀。2010年にタカラレーベン<8897>、2012年にエー・ディー・ワークス<3250>が活用して話題となりましたが、まだまだ一般的とは言えません。企業側の増資手段の一部として覚えておきたいところです。

次回は「優先出資証券」について詳しく解説します。お楽しみに!

第164回優先出資証券について

前回は「新株予約権証券」について紹介しましたが、今回は「優先出資証券」について解説したいと思います。

「優先出資証券」とは、優先出資の発行を認められている協同組織金融機関が発行した金融商品取引法上の有価証券を指します。会員からの普通出資が中心となっている協同組織金融機関ですが、自己資本の充実を図るため、一般投資家から出資を募る目的で発行されるものです。

優先出資の発行を認められている協同組織金融機関は、農林中央金庫、商工組合中央金庫、信用協同組合、信用協同組合連合会、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会など、信用事業を行うものに限られています。

「優先出資証券」を保有する優先出資者に対しては、普通出資者に対する剰余金の配当に先立って、あらかじめ定められた額の配当が優先的に行われます。ただ、普通出資者総会での議決権はなく、金融商品としては上場銘柄の優先株に近い感覚でしょうか。

現在、東証に上場している「優先出資証券」は、信金中央金庫<8421>の1銘柄が該当。上場銘柄として企業株式と同様に取引できます。ただ、実際に取引する前には、取り扱い可能な証券会社かどうか確認しておきたいところです。

次回は「優先証券」について詳しく解説します。お楽しみに!

第165回優先証券について

前回は「優先出資証券」について紹介しましたが、今回は「優先証券」について解説したいと思います。

「優先証券」とは、上場会社が本邦外に証券の発行を目的とするビジネス・トラストを設立し、そのトラストが発行した証券を指します。前回紹介した「優先出資証券」や第160回に紹介した「優先株」と同じく発行された証券の一種ですが、金融商品取引法上においては「外国投資信託の受益証券」となります。

上場会社やトラストに対する議決権はなく、分配金及び償還される場合の償還金を受領することが期待できることから「社債」に似ていますが、分配金の支払いが繰延べられる可能性があり、償還期日があらかじめ定められていない点などは「株式」に似ており、性質的には中間に位置していると言えます。

現在では、日本国内において上場している優先証券はなく、かつてはバブル崩壊後のメガバンク、2000年以降にもメリルリンチ、NECが発行した経緯がありますが、それぞれ2004年に償還されるなど、活用される機会は見当たりません。

主に財務体質強化の手段として活用されるため、普通株式の増資手段を敬遠した上場企業が採用するケースが多いようです。上場機会があれば、発行内容を確認してから取引判断を下しましょう。

次回は「CFD取引」について詳しく解説します。お楽しみに!

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