- 第1回~第5回
- 第6回~第10回
- 第11回~第15回
- 第16回~第20回
- 第21回~第25回
- 第26回~第30回
- 第31回~第35回
- 第36回~第40回
- 第41回~第45回
- 第46回~第50回
- 第51回~第55回
- 第56回~第60回
第81回消費統計について
前回では「機械受注統計」について解説しましたが、今回では「消費統計」を紹介したいと思います。
今回の題材を「消費統計」としましたが、実は「消費統計」の発表そのものは存在しません。統計局による家計調査報告で示される「消費支出」や「商業販売統計」のデータは存在増しますが、株式相場で材料視されるケースは稀です。
しかしながら、今回「消費統計」と位置付けたのは、消費者の生活に必要不可欠な「衣食住」に関するものから、高額消費やレジャー関する支出まで消費に関する指標は細分化されており、これらを総合して「消費統計」と示したためです。具体的な個別の指標発表を紹介したいと思います。
衣食に関する販売では、スーパー販売額やコンビニエンスストア売上高、チェーンストア販売額、百貨店販売など、各販売チャネルに分けられた発表があります。より細分化すると、飲料販売やビール販売、冷食販売なども発表されます。
経済産業省や民間調査で明らかとなりますが、同業種成績を合算したものですから、概ね対象業種の業界動向を推し量る手掛かりとなりますが、当然として企業努力によって個別企業で差が出てきます。
不動産に関する統計では、新規住宅着工件数、マンション契約数、中古住宅販売、オフィス空室率などが有名です。発表内容によって、住宅メーカーや不動産業の株価に影響を及ぼします。
住居に次ぐ高額消費では、自動車が挙げられますが、自動車販売台数や登録台数が現状に即したデータとなります。あとは車種データラインキングが個別メーカーの販売状況を知る手がかりとなるでしょう。
レジャーに関しては旅行取扱高、陸運業の旅客数、外食チェーン売上高、携帯電話キャリアの新規契約純増減数、ゲーム業界のハード販売額、ソフト販売額などがあります。
これら消費に関する統計では、それぞれの内容に応じて、各セクターや各業種の株価が反応しますが、衣食に関する統計でも記したように、対象業種の業界動向を推し量る手掛かりとなりますが、当然として企業努力によって個別企業で差が出てくることから、統計を手掛かりに物色する際には、業界勢力を踏まえつつ、物色対象を選びましょう。
今回の消費に関する統計はセクター判断の手掛かりとなりましたが、次回は個別企業の業績判断となる「月次成績」について解説します。お楽しみに!
第82回月次成績について
前回では「消費統計」について紹介しましたが、今回では「月次成績」を解説したいと思います。
前回では「消費統計」に分類される業界動向を推し量る各指標を紹介しましたが、企業努力によって個別企業で差が出てくることから、個別企業の業績判断としては対象業種の業界勢力を踏まえておく必要がありました。
ただ、今回紹介する「月次成績」は、各個別企業が明らかとする月次の経営数値です。公開方法としては、適時開示情報としてリリースされるものや、各企業のホームページのIR(投資家向け広報)コーナーにて、経営状況の参考指標として発表されるケースもあります。
月次成績では、企業によって発表内容は様々ですが、概ね月間の全社売上高、前年同月との比較が開示されることが多いようです。小売業など店舗出店を行っている企業では、開店から一定期間を経過した既存店の成績も公開しているケースもあります。
発表内容は月間の数値ですが、決算では四半期での開示に限られるため、速報性のある足元業績との判断できます。また、累計業績を決算内容を推し量ることも可能となり、好調な月次成績が続いていれば、好調な決算も予想されることから、決算発表を先回りして手掛けることも可能となります。
発表時期は月間集計を行った後の月初に明らかとなるケースも多いようです。もちろん、20日締めで集計を行っている企業もあり、発表タイミングは様々。月次成績を手掛かりとするには、事前に過去の発表タイミングや会社のIR担当者に問い合せておきましょう。
月次成績における注意点としては、監査法人の監査前の集計であること。売上高数値は想定できるものの、利益想定はし難い点もあり、発表内容を過信するのは危険です。あとは、前年同月との比較においては、週末日数の差も売上高に影響する場合もあり、総合的な判断を下したいものです。
次回は「銘柄選定」について解説します。お楽しみに!
第83回銘柄選定について
前回では「月次成績」について紹介しましたが、今回では実践的な株式投資に臨む上での「銘柄選定」を解説したいと思います。
さて、これまでの「いまから始める株投資、基本の基本」では、株式投資を行う上での基礎的な知識や株式市場における他市場との関係性、株価の変動要因などを紹介してきました。
今回からは「では、具体的にどの銘柄を投資すべきか?」というポイントを紹介していきたいと思います。
さて、投資家としては、将来的なリターン(投資収益)を目的に株式投資を行うわけですが、実際に具体的な収益ビジョンを持って投資している方はどれくらいいるのでしょうか。
もちろん、株価の値上がり益を狙ううえで「ただ、株価が騰がりそうだ」との感覚的なものでも、損失は自己責任の範囲ですし、大きな問題ではないのですが、できれば具体的な収益ビジョンを持って投資を行いたいところです。
具体的な収益ビジョンとしては、第36回の「投資の時間軸について」で紹介した「意図する期間内での値上がり益」だけでなく、目的に合わせて「安定配当」「株主優待」などでも構いません。
「値上がり益」を目的とするならば、将来的な株価上昇を先回りすることとなりますが、株価変動は需給要素がありますし、株価上昇には買い手の存在が必要不可欠です。日経平均株価などの株価指数の上昇に付く場合では「全体観」などの地合い判断も必要となるでしょう。
次回は「全体観」について解説します。お楽しみに!
第84回全体観について
前回では実践的な株式投資に臨む上での「銘柄選定」について解説しましたが、今回では銘柄選定を進める状況で無視できない「全体観」について紹介したいと思います。
「全体観」とは、言葉として一般的に用いられることが無く、辞書などでも単語として記されていないことから、言葉の意味を理解されている方は少ないかもしれません。しかし、株式によらず為替相場などでも用いられており、市場関係者の会話などでも頻繁に出てくることから、投資初心者でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「全体観」を簡単に説明すると、相場全体が強気に向くか、弱気に向くかといった「地合いの方向性」を推し量る場合に使われます。例えば「全体観が強気に向く」とすれば、相場全体が上昇している様子や上昇ムードに傾いている様子を示します。
しかしながら、株式相場には指標となる「株価指数」として、日経平均株価やTOPIXなどがあり、全体観を株価指数の上下として意識しても構いません。もちろん、全体観が強気のときは、株価指数とともに株価上昇を狙った「買い戦略」が効きます。弱気な場合には株価下落と見た「売り」、または「静観」が投資戦略として採るべきスタンスとなります。
ポイントとなる「銘柄選定」において、全体観の高まりに沿って効率良く投資対象を選びたい場合には、日経平均株価を構成する銘柄やTOPIXコア30などに代表される中心銘柄が軸となります。概ね株式時価総額上位が該当、株式市場での知名度が高い銘柄と認識して良いでしょう。
さて、実際に投資を行う際には「銘柄選定」の前に、まず全体観の「見極め」が重要となってくるのではないでしょうか。さすがに全体観が弱気の場合には買い戦略が効き難く、買い戦略を貫くには全体観が強気に傾く状況を待つのが賢明でしょう。
これまで紹介した株式市場の変動に影響する要因を踏まえ、株価指数の水準を参考に判断していくこととなりますが、これは投資経験によって差が出てきます。まずは、当サイトなど、具体的な相場見通しを明らかにしている情報提供会社の市況分析を参考にしてみてください。
次回は「個別観」について解説します。お楽しみに!
第85回全体観について
前回では銘柄選定を進める状況で無視できない「全体観」について解説しましたが、今回では「個別観」について紹介したいと思います。
「個別観」とは、前回取り上げた「全体観」と同じく、一般的にはあまり用いられず、株式相場で用いられる相場用語のひとつです。簡単に説明すると、言葉通りに「全体観」が相場全体の様子を示すことに対して、「個別観」では個別企業の方向性を推し量る場合に使われます。
実のところ、個人投資家のなかには、全体観よりも個別観を中心で臨んでいる方も多いのではないでしょうか。新聞報道や四季報などで「A社の業績が拡大している」や「B社の調子が良いらしい」などの情報を得て株式購入を進めるケースです。
もちろん、全体観を完全に無視するならば、この手法でも問題ないでのすが、個人投資家のなかには、全体観と個別観を同一視してしまう傾向が強いのも事実です。株価指数が暴落している場合に、調整ムードに流されて実態が良いにも関わらず個別優良株を手仕舞ってしまうケースなどが最たる例でしょう。
投資戦略としては、前回に紹介したように、やはり全体観を見極めてから、個別観を強めていくスタンスを推します。相場の方向性が上向きならば、全体観の高まりに沿って上昇が見込まれる日経平均株価を構成する銘柄やTOPIXコア30などに代表される中心銘柄が軸となります。
相場の方向性が下向きならば、多くの銘柄が下落する中、買い戦略が効き難いわけですから、見送りが賢明に。しかしながら、実は全体観の影響を受け難い銘柄も存在します。
具体的には、新聞報道などで取り上げられた材料株やテーマ株、独自に成長を遂げる新興市場所属銘柄、参加者の限られた低位材料株など個別観の強い銘柄群です。全体観が弱気のときでも資金流入が期待されますが、これらの銘柄間での資金循環は早く、短期の時間軸で手掛けることを念頭に置きたいところです。
次回は「地合い判断」について解説します。お楽しみに!