- 第61回「中国市場との関係について」
- 第62回「インド市場との関係について」
- 第63回「米国時間外先物市場との関係について」
- 第64回「商品市況との関係について・前編」
- 第65回「商品市況との関係について・後編」
- 第1回~第5回
- 第6回~第10回
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- 第46回~第50回
- 第51回~第55回
- 第56回~第60回
第61回中国市場との関係について
前回は「為替相場との関係」について解説しましたが、今回は「中国市場との関係」について紹介したいと思います。
「米国市場の結果」や「為替相場」など前回までは株式相場全体に影響を与える株価変動要因を取り上げてきましたが、今回取り上げる「中国市場」は時差の関係で取引開始後に影響を与える株価変動要因となります。
一口に「中国市場」と言っても、社会主義の体制下にある中国では、特別行政区で自由主義経済政策を採る香港と中国本土の上海、深センでは「別の市場」と言ってよく、日本における東証と大証との関係とはまったく違います。
まず、取り上げるのは香港市場ですが、当然ながら香港ドルで取引されます。メインボードの上場企業も香港企業など海外登記企業はレッドチップ、中国本土企業をH株と市場区別されています。
本土市場では、上海、深センの2つの大きな証券市場に、同一企業でもそれぞれA株、B株の区別があります。A株は人民元建て取引の国内投資家向け市場、B株は外貨建て取引で国内投資家と外国投資家が参加できる仕組みです。
さらに詳しい解説は別の機会としますが、株価変動要因として見た場合、中国市場は時差の関係で取引開始後に影響を与えると前述しました。
中国市場も日本の市場と同じく、前場と後場の2場制を採用。本土市場は日本時間の10時半から立ち会い開始。香港市場も10時半からプレオープニング・セッションと呼ばれる「板寄せ」時間があり、価格形成が始まります。
現地の取引開始が日本時間の10時半となると、前場の後半から中国市場の動向が伝わることとなります。中国市場の経済的影響力が増してきた現在、中国市場の立ち上がりが前場の変動要因となるほか、前引けから昼休みまでの中国市場動向が後場寄りの株価形成にも無視できなくなってきました。
ただ、前回の「為替相場」でも変動に「あまり捉われ過ぎないこと」が重要としましたが、中国市場でも同様の印象が持てます。株価に大きな変動が見られた場合に、中国市場の情勢が変動要因となっていることを認識できるようにしておきましょう。
次回は「インド市場との関係」について解説します。お楽しみに!
第62回インド市場との関係について
前回は「中国市場との関係」について紹介しましたが、今回は「インド市場との関係」について解説したいと思います。
前回取り上げた「中国市場」は時差の関係で取引開始後に影響を与える株価変動要因でしたが、日本から見て西に位置し、同じ新興国市場となる「インド市場」も同様の性質を持っていると言えるでしょう。
インドと言えば、中国と並んで新興成長国「BRICsの一角」としての認識から、株式市場の動向も常に注視されています。とくに英語を使える人口の多さから、低賃金の強みを生かしてIT産業やサービス産業で活躍している企業も多く、英語圏でもある欧米との関係性が強いのも特徴の一つです。
インド市場は、アジア最古の証券取引所でもあるムンバイ証券取引所(BSE)が有名ですが、ナショナル証券取引所(NSE)も指数を配信。取引時間は日本時間の13時半から19時まで、市況ニュースとしては後場中頃から伝わります。代表的な株価指数はムンバイ証券取引所の配信する「SENSEX指数」、ナショナル証券取引所の配信する「Nifty指数」がありますが、現状では注目度の高い「SENSEX指数」をチェックしておくだけで十分と言えそうです。
有名なインド企業といえば、自動車生産を軸とするのタタ・グループ、IT産業のインフォシス、アルミ産業のヒンダルコを要するアディティアビルラ・グループ、資源関連のリライアンス・インダストリーズ、ホンダ<7267>と合弁関係にあったヒーロー・ホンダなどが挙げられます。
インド市場の価格形成が直接的な変動要因になることは少ないですが、2006年5月にはインド株式の暴落を発端に「世界同時株安」に発展したこともありました。ただ、当時のファンダメンタルズは良好だったため、調整は長期化しませんでしたが、インド経済が世界的に重要度の増している昨今では、マークの怠れない市場となってくるのではないでしょうか。
次回は「米国時間外先物市場との関係」について解説します。お楽しみに!
第63回米国時間外先物市場との関係について
前回は「インド市場との関係」について解説しましたが、今回は「米国時間外先物市場との関係」について紹介したいと思います。
前々回の「中国市場」や前回取り上げた「インド市場」は時差の関係で取引開始後に影響を与える株価変動要因でしたが、今回紹介する「米国時間外先物市場」は文字通り米国時間帯以外にも取引が行われる「先物相場」で、東京市場と同じ時間帯でも取引が行われています。
米国での先物市場といえば、フロアブローカーと呼ばれる「場立ち」による活発な商いがイメージされますが、取引時間後は電子市場での価格形成に移行。電子市場では週末を除き、ほぼ24時間の取引となることから、印象としては第60回で取り上げた「為替相場」と近い存在と言えます。
第57回にも取り上げた「シカゴ日経平均先物」など株価指数が原資産となる商品が相場に直接的な影響を及ぼします。米国市場でもダウ平均やナスダック指数、S&P500など重要な株価指数がありますが、それら各指数にも先物市場が存在しています。
東京市場や中国市場の変動で米国の株価指数先物も上下しますが、やはり世界の中心市場となる米国の株価指数の変動は投資家心理に影響を及ぼしますし、指数先物の動きも東京市場の変動要因となってくるでしょう。
また、米国市場が大きく動いた後の東京市場では、リバーサル(反転)の思惑が交錯。反落や反発期待が反映される東京市場後の米国市場を見据えるうえで、指数先物取引の動向が参考指標となるでしょう。価格推移は海外指数先物取引に注力している証券会社を経由して情報を確認してみてください。
次回は「商品市況との関係」について解説します。お楽しみに!
第64回商品市況との関係について・前編
前回は「米国時間外先物市場との関係」について紹介しましたが、今回は「商品市況との関係」について解説したいと思います。
これまで海外株式市場や為替相場など、日本の株式市場全体に影響を及ぼす株価変動要因を取り上げてきましたが、今回紹介する商品市況は相場全体よりも関係する産業や特定のセクターなどの株価変動要因として意識されることが多いのではないでしょうか。
商品市況といえば、原油や天然ガスなどのエネルギー、金や銅などの貴金属、小麦や大豆などの穀物など、産業分野では原材料として扱われることの多い商品の先物相場です。原材料の価格変動は企業収益のコストや保有資産と密接な関係があるため、商品の価格推移が株価変動要因となる仕組みです。
商品先物相場は、日本でも東京工業品取引所や東京穀物商品取引所などでも取引が行われていますが、時間帯の影響もあり、海外の参加者が多く集まる米国市場の影響力が高い状況となっています。
次回も「商品市況との関係」についてより詳しく解説します。お楽しみに!
第65回商品市況との関係について・後編
前回は「商品市況との関係」について紹介しましたが、今回も「商品市況との関係」について詳しく解説したいと思います。
さて、前回では商品市況が相場全体よりも関係する産業や特定のセクターなどの株価変動要因として意識されることや商品相場は海外市場の影響力が高いことなどを中心に取り上げました。
海外の先物市場の本場とされるシカゴでは、シカゴマーカンタイル取引所(CME)やシカゴ商品取引所(CBOT)などあり、活発な商いが行われています。かつては、ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)、ニューヨーク商品取引所(COMEX)などが中心地でしたが、現在では指数先物取引を中心に扱うシカゴマーカンタイル取引所(CME)の傘下となっており、主流となっている電子取引システムで24時間取引を可能にしています。
商品市況のなかでも、注目度の高い商品としては原油、金などが挙げられます。原油先物ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)、COM
EXのGOLDの結果が注視され、原油を扱う鉱業や石油製品セクター、金など貴金属を扱う非鉄金属業の株価に影響を与えます。
代表的な銘柄では、鉱業の国際石油開発帝石<1605>、石油資源開発<1662>、石油関連のJXホールディングス<5020>、出光興産<5019>。非鉄金属では住友鉱山<5713>、三菱マテリアル<5711>などでしょうか。
枠組みを広げれば、資源輸送を担う日本郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎汽船<9107>の海運業、資源権益を有する三菱商事<8058>、三井物産<8031>、伊藤忠<8001>、丸紅<8002>なども商品相場との関係性が深い銘柄やセクターです。
ただ、これらは上流産業として製品値上げが比較的行いやすく、保有資産の価値上昇が素直に好感される銘柄群やセクターです。これらを除く多くの銘柄はコスト高要因として収益を圧迫しかねません。商品市場の価格高騰は他の銘柄への悪影響にも成り得ることを覚えておきましょう。
次回は「債券市場との関係」について解説します。お楽しみに!